OB山田の後見体験記|横浜で20年の実績。相談件数10000件。司法書士法人大橋恵子&パートナーズ(横浜市神奈川区)不動産登記・名義変更・相続放棄・遺留分・遺言書作成・成年後見・遺産分割に対応

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 1年前ほどの話です。ある税理士から、84歳(男性)Yさんをご紹介されました。Yさんは現在自宅に一人暮らし、5歳年上の妻は重度の認知症で自宅近くのグループホームに入所しています。Yさんは若いころから大変やんちゃな性格で、女性にギャンブルにと、結婚してからも妻を悲しませてばかりいたそうです。でも5歳年上の妻は、そんなYさんのことを決して見捨てることなく温かな愛情をもって支え続けてくれました。
 2人にはお子様がいません。将来は2人自宅で静かな余生をと思っていたそうですが、10年ほど前から妻の認知症が急激に進行したためグループホームに入所せざるを得なくなりました。
 Yさんは誓いました。今まで妻を悲しませた分、今度は妻のために全力を尽くそうと。グループホームには毎日通いました。愛する妻に自分が誰なのか分かってもらえなくても毎日通って食事を手伝い、午後には妻の車いすを押してお庭を散歩します。Yさんはそんな毎日が幸せだったそうです。

後見体験
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 ただYさん自身にも持病があり、いつまで妻のために動けるかわからない、もしも自分の身に何かあった時に妻が困らないよう、妻に全財産を相続させる旨の自筆証書遺言を書きました。2人には子供がいないため、もしYさんが遺言を残さず妻より先に亡くなった場合、妻はYさんの兄弟姉妹(友好関係にあるとは言えない)と遺産分割協議をする必要があります。ましてや妻は重度の認知症のため、自分で遺産分割協議をすることができないため、成年後見制度を利用しなくてはならず、明らかに困難が予想されました。
 将来のことを考えて今何かできることはないか、そんな理由でYさんは当事務所にいらっしゃいました。

Yさんの妻を想う温かさに心を打たれた私は、少しでもYさんの力になれるよう尽力しようと決意しました。事務所内でも検討を重ねた結果、まずは現在の妻に関する財産管理の煩わしさからYさんを解放するため、妻を被後見人とする後見申立てをしました。後見人にはYさん自ら名乗りをあげましたが、Yさん自身も高齢であることと、もしYさんが先に亡くなっても妻への相続がスムーズにいくように我々を紹介した税理士に就任してもらうことにしました。

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 それと並行してYさんと税理士が任意後見契約(見守り事務委任契約・財産管理等事務委任契約・任意後見契約・公正証書遺言のいわゆる4点セット)を結ぶことを提案しました。これには目的が2つあります。1つはYさんがもし認知症になってしまっても財産管理がスムーズにでき妻の介護に支障がでないようにするため、2つ目は公正証書遺言を作成することによってYさん亡き後、妻への相続手続きを円滑にするためです。内容は同じでも自筆証書遺言の場合、裁判所での検認が必要となり、Yさんの兄弟姉妹の戸籍謄本等が必要となります。また遺言開封の場にYさんの兄弟姉妹が立ち会うこととなります。友好関係にない兄弟姉妹の関与によって、残された妻が不利な状況に置かれるのを防ぐためYさんは公正証書遺言を作成しました。

私がYさんに会ってから上記の手続きが済むまで約2か月半かかりましたが、これでようやくYさんも一安心です。実はYさんは、自筆証書遺言を書いたものの本当にこれだけで妻を守ることができるのかと悩み、眠れない夜を過ごしていたそうです。しかし今回、親しい税理士の協力も得て、法定後見制度・任意後見制度を利用することにより、大きな悩みごとが消え、妻の介護だけに専念できるようになったと何度も何度もお礼を言ってくれました。

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先日Yさんが久しぶりに事務所に遊びに来てくれました、きれいな花束を持って!!事務所に頂けるのかなと思ってお礼を言いかけたところ、

 Yさん:「今日は妻の誕生日なんだ、あいつの好きな花をこれから持ってくんだ」

 その場に同席した女性司法書士は涙を堪えることができません。私も本当に胸が熱くなりました。
 自分が誰なのか分かってもらえなくてもそんなの全く関係ないんだそうです。これぞ本当の夫婦愛。Yさん 奥様 これからも元気で長生きしてくださいね!

司法書士法人大橋恵子&パートナーズ